「まつやま働き方改革認定企業」紹介 過労死レベルの残業時間から脱却した石田クリーニング
1953年設立のクリーニング店。自社工場を持ち、松山市を中心に21の直営店を展開。従業員121名のうち約100人がパートアルバイト。
松村:チャレンジ企業の第1号の会社として、
我々も試行錯誤しながら取組ませていいただいたのですが、
振返ってみていかがでしたか?
清本:会社の雰囲気が変わったと実感しています。
現場ではこれまで、
上司に怒られる・怒られないが、
判断基準の従業員が多かった気がしますが、
今は自発的に
業務に取組む従業員が増えてくれたと思います。
また、物事の判断基準が変わりましたね。
例えば小さな改善についても、
自発的に取組んでくれていて、
現場ではたくさんの改善が日々行われています。
松村:現場の業務を従業員に任せることへの
抵抗や不安はありませんでしたか?
清本:もともと私はトップダウンに近い
マネジメントをしてきたかもしれません。
その結果、従業員から意見が出てこなくなりました。
このままでは成長が止まってしまうと思い、
そこから現場に任せていこうと変えていきました。
経営側は設備や体制を整えていくことに注力し、
現場は従業員に任せていくということを徹底する。
自分たちで考え行動していく風土をつくっていくことが大事ですね。
失敗したらもちろん私が責任を持つ。
そのような姿勢で任せていくことが大事ですね。
松村:なるほど。
多くの中小企業の経営者の皆さんは、
任せることへの取り組みに苦労されていますよね。
清本社長がアドバイスするとしたらどのようなことが言えますか?
清本:まず自分が何でもできると思っている経営者の皆さんは、
もう任せるということを取り組んでみてください。
きっと成長のスピードが変わってくると思います。
また一気にあの会社のようになれる!と思って、
一気にジャンプできると思ってはいけません。
階段を一段上っていくように、
目の前の課題を一つずつクリアしていくこと。
すぐにできるけど後回しにしていることって多くあるんです。
一段一段、確実に上っていくことを意識してみてください。
その積み重ねが、大きな改善につながると思います。
そして、ある程度前に進んだ段階で、
次なる投資として制度やツールなどの構築に取組むと良いと思います。
松村:意外と身近な問題にも気づけていないことってよくありますよね…
石田クリーニングさんでは、様々なITツールを活用していると
お聞きしていますが具体的にはどんなものがありますか?
清本:はい、様々な場面でツールを活用しています。
例えば、従業員全員の情報共有においては、
社外には非公開型の従業員専用のインフラシステムを利用しています。
スケジュールの管理のほかに、
社内の会議で決まった内容などは
非公開のYoutubeに動画をアップし、
その内容を閲覧してもらうようにしています。
各クリーニング店舗にはタブレットを支給していて、
出勤時にチェックができるように体制を整えています。
そのほかには、幹部同士での共有ツールでkintoneを利用しており、
クレーム対応の内容や営業データの共有など、役職者同士に限定した
コミュニケーションも使い分けて利用しています。
このようなツールの活用で、
コミュニケーションのスピードが増し、
無駄な時間の削減にもつながりましたね。
松村:ありがとうございます。この他、残業時間や有休取得など、
もともと課題だった点についてはどのようになりましたか?
清本:残業時間については、3年前のピーク時から徐々に減ってきています。
様々な取り組みで業務改善につながり残業時間削減に繋がりました。
また有給の取得率につてもアップしました。
当社ではパートスタッフさんにも有給の制度を取り入れています。
なかなか愛媛県では珍しいほうだと思います。
このような現場の改革も進み、
新規出店の採用においては、採用に困らなくなりました。
テレビ等の露出もあったのですが、働き方改革に取り組む会社として
プラスのイメージを発信できているとも思います。
松村:新しくグループ会社を作られたとお聞きしています。
詳しく教えていただけませんか?
清本:これまでの働き方改革の取組をノウハウにして、
コンサルティングを行うプレジャー株式会社を立ち上げました。
現在、本体の石田クリーニングの
育成や働き方改革の業務に関して一任しています。
客観的に外部から見ることで大きく改善に着手できます。
また何よりも成果が求められるわけですから、
自社で改革を行うよりも
よりシビアに結果を出さなければなりません。
その点も成長にスピードを加速させていく、
一つのポイントにもなると思います。
現在、新しい業務管理システムとして、
PDCAに着目したツールのテスト&実行も試験的に行っています。
このツールがうまくいけば他社の業務改善にも生かせる
新しい支援ツールの提供ができると思います。
我々の成功事例を、働き方改革で困っている会社に
うまく利用していただきたいですね。
松村:石田クリーニングさんでうまくいった事例を、
他社に展開していくという新しいビジネスチャンスを
生み出されたんですね!素晴らしい発想ですね!
現在、清本社長の会社における役割とはどんなことになりますか?
清本:今までのビジネスは、
この先通用しなくなると思っています。
石田クリーニングの事業においては、
洋服に関わるビジネスで、
どのように消費者にご利用いただくか?といった、
新しいサービスを考えていくことが、
今私の置かれている役割となっています。
直近では、BtoB向けのクリーニングサービスもはじめました。
ホテルや学校のカーテンなどのクリーニングは、
これまで取り組んでこなかった
新しいニーズの掘り起こしに繋がっています。
働き方改革への取り組みの結果、
経営者として私の労働時間は減り、
その分を次なる事業展開のための
情報収集のために費やすことが出来ています。
松村:ありがとうございました!
清本社長は本当にアイディアマンでもあり、
新しいことにチャレンジされる点でとても勉強になります。
自社で取組んだ成功体験を、
より多くの会社の働き方改革の支援につなげていく、
さらには新しいビジネスチャンスを生み出していく―。
私たちも共に、松山市において1社でも多くの会社の、
働き方改革の支援に取り組んでまいりたいと思います。
ありがとうございました。
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