「まつやま働き方改革認定企業」紹介 働き方改革で人手不足を克服、業績大幅アップしたラポール
2005年創業。愛媛県内でケーキ・お菓子の製造販売を行う。店舗は、松山市内に4店舗、新居浜市内に1店舗。
(有限会社ラポール/代表取締役 橘 憲一郎)
松村:チャレンジ企業コンサルを受けてから1年以上が経ちます
その後、会社の変化はいかがですか?
橘 :早いもので、1年以上が経ちますね。
店長会議では「問題解決メソッド」の手法が定着し、
話し合いが活発に行えるようになりました。
併せて問題解決も
自分たちの力だけで行える力が身に付いたように感じます。
また、多様な人材が活躍する職場に生まれ変わり、
主婦の方に加え、
短時間正社員で働きたい主婦や障害者の雇用など、
今までと違う職場の雰囲気になりました。
何よりも、みんなのモチベーションも上がり、
いい方向に会社が変わっているように感じますね!
松村:目に見える会社の変化が嬉しいですね!
橘 :数字で見てみると、
会社の雰囲気が変化するとともに、業績もアップ!
経常利益も1.5倍になりました。
そのほか、「働き方改革」での改革や、
多様な人材が現場で活躍している様子など、
社外に発信できました。
結果、採用での応募者数が、
直近の半期と前の半期との比較では、
11名の応募者が44名の応募と4倍も増えました。
とくに、ラポールで働きたいと思っていただける主婦層の方が増え、
良い人材をここから8名も採用することができました。
松村:苦戦していた採用活動も、
反応が4倍にも増え、素晴らしいですね!
どのような工夫をされたのですか?
橘 :これまでは朝~夜までの時間帯のなかで、
勤務時間は要相談という打ち出し方をしていました。
そこを、朝だけ勤務、昼間だけの勤務、夕方だけの勤務など、
時間帯を具体的に区切って、
主婦層や学生層のターゲット層を意識して募集したことでしょうか。
ただ求人条件を出すのではなく、
採用後に、どのようなポジションでどう活躍してほしいか?
またどんなポテンシャルを持っている人材だと
その後、どう活躍してくれるか?などの判断基準など、
採用における基準を明確化させたことも重要ですね。
このあたりも、今回のチャレンジ企業で、
コンサルを受けることによって、
経営陣と採用の現場である店長たちと
認識をそろえることができました。
松村:なるほど。
そもそもチャレンジ企業に応募するきっかけを教えていただけますか?
橘 :はい、ある3月の繁忙期の日のことでした。
従業員の皆さんからの
アンケートがまとまった「手紙」を渡されました。
<経営陣は現場のこと、女性のことを考えていない>といった、
不満がまとまったアンケート結果でした。
急遽、繁忙期の対策を考える店長会議の予定を変更し、
役員3人がすべての店長から不満や要望の言葉を、
一つずつ聴くことになりました。
幹部にとっては人生で一番つらい時間だったかもしれませんね…。
しかし、現場で頑張る彼女たちの言葉の一つ一つは、
“会社が良くなってほしい”という前向きなメッセージそのもので、
しっかりと受け止めることができたように思います。
これまでは、現場のことを分かっていると思っていたのですが、
実際はかけ離れていたという事実にショックを覚えました。
しかし前向きな店長会議となり「今こそ会社を変えるチャンスだ!」
とすぐに思えたことを思い出します―。
松村:そのようにプラスに受け止められたのはなぜですか?
橘 :それは、経営者として
「会社を良くしていきたい」と強い覚悟があったからだと思います。
彼女たちが真剣に会社を良くしていきたいとぶつかってくれたこと。
それにちゃんとこたえていきたいと…。
問題から逃げないで変えていきたい…。
あの時を振り返ってみますと、
私と一緒に役員たち皆が一緒に成長してくれ、
この課題を乗り越えてくれたことも、
本当に良かったと思っています。
当時の私たちにはビジョンがありませんでした。
何かを変えていきたいという想いはあったのですが、、、
具体的なビジョンがなかったことは
従業員の不満に繋がっていました。
ほかにも、経営陣がこうあるべきだという育成方針を、
現場に一方的に提供していたということも分かりました。
経営陣は何でもできるような
「ゼネラリストタイプ」の人材を多く育てたいと思い、
様々な研修に現場の店長を参加させるなど、
本人の意向とは別に育成をおこなっていました…。
しかし、違っていたんですね。
職人気質のタイプの従業員さんたちは
ゼネラリストタイプになることを求めていない…。
いろんなタイプの人がいるということを改めて認識しました。
松村:店長会議を通じて、いろんな気づきがあったのですね。
橘 :他にも、店長に対して過度なプレッシャーがあり、
現場の従業員さんたちは、
大変な店長をみて、
将来店長になりたくないと
思っているということも分かりました。
そのような現場の声を受け、
会社を変えていこうと思っていたタイミングで、
「チャレンジ企業」の制度についてご縁で知り、
今回のコンサルを受けることにしました。
松村: チャレンジ企業コンサルをはじめて社内の反応はどうでしたか?
橘 :外部の方が会社に入り、課題解決に導いていく
というスタイルでの取り組みは新鮮に思いました。
とくに私自身が、「問題解決メソッド」という理解し、
「事実」と「解釈」に分けて課題を整理する力を身につけられた点が良かったです。
ここからコンサルを受ける中で、様々なテーマに取り組みました。
1 人手不足の解消(採用活動の改善)
2 情報共有がうまく出来ていない。
3 現場の体制づくり
4 リーダーになりたくない問題 など
松村:コンサルを受けた後の変化は何か測定されたのでしょうか?
橘 :例えば、当社では「やりがい指数」という、
半期に一度ですが、従業員の満足度を図る調査を行っています。
40項目に対して答えて店舗別での平均点をとるといったものです。
6年前から定点観測をしています。
面白いことに
「やりがい指数」と業績が連動しているんです。
今回のコンサルを受ける前は、
「やりがい指数」が大きく下がっていました。
従業員さんたちの不満がきっと表れていたのでしょうね。
もちろん業績にも反映され、業績も苦戦していたタイミングでした。
しかし、コンサルを受け、
徐々にその数値は改善されていきました。
また、今ではみんなで「問題解決メソッド」の手法を用い、
会議を進められるようになりました。
しっかりと「理想の事実」の状態を話し合える状態、
活発に意見を交わすことができるようになりました。
例えば、冒頭にもお話をしました採用の面では、
「入社1年でキッチンのことが一通りできようになること」が
理想であるという、採用基準の一つが言語としてまとまりました。
そうすれば、採用での判断基準が明確になり、
その後の教育制度の方向性などもより具体的になっていきます。
「理想の事実」のすり合わせができ、
問題解決をしていく力が身に付いたと思っています。
松村:素晴らしい変化が起きているのですね。
そのほか、制度など新しく生まれたものはありますか?
橘 :そうですね。
多様な働き方の例としては、
正社員で副業を認めて応援している事例があります。
現在、正社員として、副業で芸能活動を行っているスタッフがいます。
シンガーソングライターとして頑張ろうとしている彼女を、
会社として応援していきたいと思っています。
そのほか、現場の接客レベルを上げていく「おもてなしリーダー」という役職もつくりました。
長く勤務してくれている主婦の方が認定試験など育成をご担当いただくというものです。
また、産休復帰における定期面談も役割を担ってくれています。
松村:制度って、今の会社を大事にする人たちのニーズを探り変えていくものですよね!
風土についてはいかがですか?
橘 :チームで解決していこうという風土に
変わったように感じます。
これまで各店舗での問題は、
店長が主体となって取り組んでいく風土がありました。
店舗運営は店長に大きく任せられていました。
しかし、今回のコンサルを受け、現場の意識が変わり、
店長に頼るのではなく、
チームで解決していくという風土が生まれているように感じます。
現場の雰囲気がより良い状態に変わっているように思います。
松村:ありがとうございます。最後に、今後はどのようなことに
取り組んでいかれるか教えてください。
橘 :現場の生産性の向上に取り組んでいきたいと思います。
ここ5年間で生産性が大きく変わっていないのです。
具体的には、店舗とは別に「ラボ」を立ち上げ、
そちらで焼き菓子などの製造を行っていき、
現場での労働負担を減らしていくことを行っていきます。
(※ラボは、製造工場の機能をもった拠点)
そうすれば店舗においての業務が、
おもてなしの接客の時間に集中させることができます。
現場の負担を軽減させることで、
有給取得率のアップや給与水準のアップにも、
繋げていきたいと思っています。しかしながら、
ラボでも多様な人が働くからこそ、現在、多様な問題に溢れていて
これも問題解決メソッドを活用し、解決していきたいと思います。
松村:一つずつの問題に向き合い、皆で解決をしていく。
コンサルが始まった時から、徐々に会社が変わっていく姿が見られて
とてもうれしく思います。これからのラポールさんの挑戦を、
まつやま働き方推進会議としても、応援していきたいと思います。
これまで取り組みをご一緒させていただきありがとうございました。
橘 :こちらこそありがとうございました。
これからの会社のビジョンも明確です。
このような取り組みにチャレンジできたこと、感謝しております。
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